チャイムに急かされ、教室に戻る俺。


席につくまで、視線は自然と片桐に向く。

正利に言われたからといって、あきらめる訳がなかった。

逆に、彼女の目を探ってしまう。


あからさまなその行為は、片桐も気づいてしまう。

席に座るまで、片桐と目が合う。

じっと見つめ合ってしまっていることに気付き、

俺は白々しく微笑んだ。

片桐は無視するように、視線を教科書に戻した。


俺はため息をつきながら、席に着いた。


離れている為…彼女の色がわからなかった。


もっと近づきたい。


俺はそう思った。


もっと近くで、瞳を探りたい。



そう願った。