少し距離を取った正利は、しばらく俺をじっと見つめてから、

おもむろに口を開いた。


「昔のお前の目も…姉貴に似ていたよ」

「え?」

予想外の言葉に、驚く俺にフッと笑いかけると、

「だから…俺と友達になったのかもな」

悲しげな目のまま、俺に背を向けた。


「片桐は、やめておけ…。また、すべてを失うぞ」

そう言って去っていく正利。

「正利…」

俺は正利には、昔のことを話していない。

だけど、何かを感じ取っていたのだろう。


「瞳の色…」

俺は瞼を閉じると、そっと瞳に手を当てた。


自分の色など…気にしていなかった。

俺の色は…片桐に似てたのか。