正利の姉貴は、自殺していた。


正利に似ず…綺麗な姉貴だったらしい。

しかし、その美しさが災いし、

彼女は自殺した。


男には人気があったが、女には嫉妬されたらしい。


その姉貴が、自殺する前の数日は、

弟の正利が見ても、美しいかったらしい。

ゾクッとする程に。


それは、俺が正利と出会う前の話だ。

女の美しさを語っていた時に、正利が突然話しだしたのだ。


(すべてを捨てて…何もなくなった時…心の荷物だったのかな…それをなくした時の女は、美しいよ…。だけど、そこに未来はないんだ)

そんな話を思い出している俺の肩を叩き、

正利は離れた。

「わかったか?」