「な、なんだよ」

予想外の正利の変化に、俺は怒れなくなってしまった。

「悪いことはいわない」

正利は初めて、視線を外した。

掴む手の力だけが、強い。

「片桐の綺麗さは…高校生の綺麗さじゃ…ない。それに、あの美しさは」

正利は目を瞑った。

「正利?」

俺は、正利の様子がおかしいことに気付いた。

腕が震えていた。

「太一…」

顔を伏せだした正利は、絞り出すように、

言葉を吐き出した。

「俺の姉貴に似ている」



「え」

正利の言葉に、俺は唖然となった。

「死ぬ前の…姉貴に似ているんだ」