「まあ…だからと言って、やるかどうか」


俺は教室に戻ると、真っ直ぐに自分の席に向かうはずだった。


なのに、俺の足は止まった。


自然ととらえた目が、そこから動くのを拒否したからだ。


目の前に片桐がいた。


(畜生)

俺は心の中で、毒づいた。

これじゃ…あまりにも露骨だ。


休み時間もどこにも行かずに、ただ教室で、本を読んで過ごす片桐の美しさは、

どこか近寄り難く…

遠くから眺めるのがあっているように感じた。

それは、クラスの女子もそうなのか…

話しにくそうだった。