「どこいってたんだよ」

控え室のドアを音を立てて開き、飛び込んで来た美佳に、俺が声をかけた。

もう俺のスタンバイは、出来ていた。


だけど、俺の出番は一番最後…このライブイベントのラスト曲でもあった。


美佳は俺の姿を認めると、ギロリと睨み、

「おれは、外の空気を吸いに行ってただけだ!お前こそ、来るのが遅いんだよ!」

「な」

どこか機嫌の悪い美佳にたじろぎながら、

「い、一番…最後だから、いいだろが」

そんな言葉を口にした俺に、美佳はスティックで指差すと、

「そんな考えが、甘い!甘過ぎる!バンドを舐めるな!」