理由は、簡単だった。


その男は、彼女と付き合うとかのレベルではなく、

婚姻届けを持ってきたのだ。


「たっちゃんじゃあ…あたしと結婚できない」



そりゃあ〜そうだ。

俺はまだ…未成年だ。



だから、俺は…頷いた。




「女って…すぐ結婚したがるのかな?」

そんなことを呟いてしまったのは、

美佳の前だった。

「え?」

驚く美佳に、俺は首を横に振った。

「何でもない」



美佳と俺…総司の三人は、いっしょの高校を受けるからと、いっしょによく勉強をしていた。

高校に入っても、その習慣は変わらなかった。