日々が過ぎるのは早い。

特に、幸せな日々は…早いのだろうか。


軽音部のライブの日が来た。

たった一曲…ゲスト参加みたいなものだけど、

俺の緊張はピークだった。

一応、一般のお客も入場フリーであるけど、

高校の視聴覚室まで、見も知らない人が入ってくるとは思えなかった。



「まったく…太一やつ」

ライブが始まる…数分前、美佳が俺に電話をかけていたけど、つながらなかった。

何回かコールしていると、後ろから声をかけられた。

「橘さん!もうすぐ始まります」

視聴覚室のドアが開き、廊下にいる橘に、関係者が声をかけた。

「あっ、はい」

美佳は携帯を切った。

ドラマー不足により、美佳は何組かのバンドを掛け持ちしていた。