水分がなくなっていたようで、俺は缶の中身を一気に飲み干した。

まだ飲み足りないような俺に微笑むと、片桐はそばに来て、腕を絡めた。


「どこかで、休みましょうか?」

「あ、ああ」

片桐から積極的に腕をとられて、俺は焦ってしまった。

そんな俺がおかしかったのか…片桐はさらに密着すると、

「変なとこじゃないからね」

耳元で囁いた。

「な!」

真っ赤になる俺に、舌を出した。

そして、優しく笑いかけると、

「行きましょう」

駅の方へと歩き出した。

「そ、そうだ!駅前に、ケーキの美味しい店があるって」

まだ動揺している俺を、片桐は軽く睨み、

「あたしを太らす気?」


「ち、違うよ」



そんな会話を続けながら、俺達は歩いていった。

いつのまにか…人目を気にしなくなったことに、

互いに気づかずに…。