渡り廊下に来た片桐は、大きく息を吸った。

吹き抜ける風が、気持ちいい。

いつもの定位置にもたれると、ぼおっとグラウンドを見た。

楽しそうにはしゃぐ生徒達の様子を眺めているだけで、片桐は満足だった。

まだ学生として、過ごせる時間。

この時間が終わったら、社会に出て…1人で生きていかなければならない。

本当は働きながら、夜間高校に通うつもりだったけど、

両親が普通の高校に入学させた。

あまりにも、娘を不憫だと思ったのだろう。

大学も行かしたいようだけど、片桐にもその気がなかった。

まあ…勉強しかすることがないから、成績は上がっているのだけど。