「どうして?」

片桐とすれ違ったのは、美佳だった。

思わず、最初に足を止めてしまったのは、

片桐が笑顔だったから。


無愛想ではないけど、いつもクールなイメージがある片桐が、楽しそうだったから。

そして、すれ違ってから…もう一度足を止めたのは、

片桐が鼻唄を口ずさんでいたから。

メロディだけだったけど、それは今かかっている…ジョリーだった。


美佳が片桐の背中を見送っている途中で、ジョリーは終わった。

「知ってるの?」


ジョリーは太一の好きな曲。

だから、太一とライブでやることを決めた。