「仕方ないだろ。持ってないんだから」

俺は腕を首の後ろに回すと、パイプイスにもたれた。

「買えよな」

純一はジョリーをかけながら、もう次の曲を選曲していた。

「まあ〜そうなんだけど」

俺は、空になったCDを見ながら、

「近くのCDショップには、なかったんだよなあ〜。多分、もっと大きな店にいかないと、売ってないんだろうな」

俺は、ため息をついた。



校内に、ジョリーが流れた。

天使の羽が落ちてくるような滑らかなイントロが、すべての人達を包む。

その優しさに気付くか…気付かないのは、その人による。

どんなにそばに、優しさがあっても、

人は気付かないことが多い。