「な、なんなんだよ」

総司が見えなくなるまで、見送った俺は…深く考えるのをやめた。

そこから導く真実を、頭に残すことが嫌だったからだ。

できるだけ…考えないように。


ずるいかもしれないけど、それがいい。

頭を混乱させようと、激しく頭をかいた俺は、

再び家路へと向かった。


歩く俺の頭の中で、ジョリーが鳴り響いていた。


こんな時は、片桐に会って抱き締めたら、一発で元気になるのに…。

だけど、恋人でもない片桐に会いにいくのは、迷惑だ。

携帯も持っていないから…声も聞けない。


「我慢するか…」

とぼとぼと…俺の歩く速度が遅くなっていった。

自分でも気付かずに。