「うん?」

俺が振り返ると、後ろに息を切らした総司が立っていた。


「総司…どうして、ここに!?」

俺は少し驚いてしまった。

総司の家は、この辺りでない。

駅でいうと、学校を挟んで、同じくらい反対方向に向かわないといけない。


「た…」

総司は拳を握りしめると、

「太一!」

俺に向かって突進してきた。

「どうして、お前は!」

握りしめた拳を、俺の顔面に叩き込もうとしたけど、

俺は簡単に避けた。

残念ながら、総司に運動神経はない。

勢い余って、こけそうになった総司に、俺は手を伸ばした。

腕を掴んだ俺を睨むと、総司は俺の手を振り払った。


「触るな!」