こたえなかった俺に、あいつはまたきいた。

「そ、それは....」

まだ片桐とは、つき合ってはいない。

だから、否定しょうとしたけど、言葉がでなかった。

「ねえ..彼女?」

しつこくきいてくるあいつに、仕方なくこたえようとすると、


「そんなわけないだろ」

突然、隣の男が口を開いた。

俺を見下ろしながら、

「こいつは年上が好きなんだろ?まあ...また口説いたとしても、また駄目だろうがな」

勝ち誇ったように言うと、あいつの肩を抱いた。

「な」

俺は目を見張った。

この男からすると、俺からあいつを奪ったということになるのか。

舐められた態度に、俺はキレそうになった。


「おあいにく様」

今にも殴りかかりそうな俺の腕に、片桐の細い腕は絡みついた。

片桐は、俺と男の間に入る形になり、

「あたしは、この人の彼女ですから」

男に向って、微笑んだ。