中年のガタイのいい男と手を繋いでいるあいつは、髪をかきあげ、

「もしかして〜たっちゃんの彼女?」

にやにやしながら、きいた。

「フン」

隣の男は鼻を鳴らした。

もともと、俺をよくは思っていない。


「こんなところで、会うなんて…。そっか!たっちゃんの学校、この近くだったよね」

あいつは笑顔になり、

「あたしね。結婚したから、この近くに引っ越したんだ」

きいてもいない近況を話し出した。


あんな別れ方をしたのに、屈託のない笑顔で、話しかけてくるあいつが、

俺には信じられなかった。


「ところで、たっちゃん。隣の女の子は、彼女なの?」