いや…厳密には、あいつらだ。


「やっぱり、たっちゃんだ!」

嬉しそうに笑う…あいつ。

そして、その横に男がいた。


片桐を繋ぎ止めていた腕が、下に落ちた。


「久しぶりだね。元気にしてた?」

俺を見つめる…あいつ。

その隣にいる男を、俺は知っていた。

店の常連だ。

三回離婚してる男。


あいつは言っていた。


あんな…女を幸せにできない男は嫌だ。


と、

言っていたのに…。


(何が、俺の知らない男だ!)


そんな最低の男に、俺は負けたのか。

あいつは、四回目の女になったのか。


目を見開き、動けない俺を…自由になった片桐が見つめていたが、

俺は気付かなかった。