「俺のわがままをきけ…きいてくれ!」

俺は片桐が離れないように、強く抱き締め、

「俺のそばにいてくれ。これは、俺のわがままだから…」





2人の間に、少しの沈黙の時が過ぎた。

俺の腕の中にいる片桐の鼓動と、ちょうど鼻腔にあたる…髪の毛から漂うシャンプーの香りだけを、俺は感じていた。



「神谷くん」

片桐は、抱き締めている俺の腕に、そっと…手を置いた。

「…でも、あたしは…」

片桐が口に出そうとする言葉を、俺はさらに抱き締めることで遮ろうとした。


「…たっちゃん?」

その時、俺の心臓を止める声がした。

俺の頭が気づく前に、心臓が気付いた。

息も止まる。


さっきまで、俺達しかしなかった公園に、

あいつがいた。