「ったく!」

何かわからず…(多分、自分自身に)苛立ちながら、毒づいた。

「ああ…」

俺は思わず、ズボンの後ろポケットから、煙草を取り出した。

これは、彼女のものだった。

いつも終わった後、虚ろな目で虚空を見つめながら、煙草をふかす彼女を見て、

俺はそんな時…何を考えているのか知りたくて、吸ってみた。

初めての煙草は、とても苦くって…こんなのを、平気に吸える彼女が信じられなかった。


だから、俺はこう…思った。

彼女の心は、俺のそばにはなかったんだと。


「くそ!」


握り潰して、棄ててしまいそうになるが…

いずれ、この味がわかる時、あの時の彼女の気持ちがわかるかもしれないと思ってしまうと、棄てられない。

だけど…持っていても、未練があるみたいで、いやだけど。