「太一!」

俺は正利の声を無視して、屋上から出ていった。


急いで、階段をかけ降り、俺はできるだけ、屋上から離れてることにした。


あのまま、あそこにいれば、何かが壊れる…そんな気がした。


「何…逃げてんだか…」

自分自身に毒づきながら、俺は校舎から飛び出した。

やつらがいる校舎から、離れたかった。


一番近い外への出口へ走った。


そこは、渡り廊下だった。

屋上と同じ日差しなのに、なぜか…少し心が軽くなった。

背伸びをした俺の体を、風が吹き抜けた。


「あっ」

俺は腕を、太陽に向けたまま…動けなくなった。

「うん?」

渡り廊下の手摺に頬杖をついていた生徒が、俺に気付き、

微笑んだからだ。