無理言って、ごめんなさい。

と言って頭を下げる生徒を、純一は憶えていた。


「まあ〜聴いたことはなかったけど…名曲だとは知ってたから、早速かけてみると…」

純一は俺を見て、

「お前が釣れた」

「え」

「それからは…お前が部員になって、結構かけてるから…その子も、喜んでいるだろうよ」

ジョリーが終わり、次の曲が始まる。

俺も屋上に行く為に、椅子から立ち上がった。

放送室から出ていく前に、俺は気になることをきいた。

「このCDを持ってきたやつは、誰だよ」

「お前と同じクラスのはずだけど」

純一はデッキから、アル・クーパーのCDを取り出し、丁重にケースの中に戻した。