学校に行くまで、ずっとたまらなかった。

気持ちが先走り、すべてが愛しく思えた。


教室にいくと、もう登校していた片桐に走り寄った。

「おはよう!」

満面の笑みの中に、照れる思いを隠し、挨拶した俺を…片桐はちらりと見上げると、広げていた教科書に目を戻し、

「おはよう」

少し素っ気なく返事した。

「?」

俺との温度差を感じ、少し眉を寄せてしまった。

「あ、あのさ〜。かたぎ」

少し雰囲気を変えようとした俺の肩を後ろから掴み、誰かが強引に振り向かせた。

「太一!」

俺の視界に、なぜか怒っている美佳が現れた。

「ごめん…忙しい」

俺はまた、片桐の方を向こうとしたが、

今度は腕を掴まれた。