「よし!」

美佳も頷くと、まだたじろいでいる俺の横をすり抜けて、改札に向かう。


自転車通学の為、定期を持っていない美佳は、あらかじめ買っておいた切符を改札に差し込んだ。


「あっ!それと」

改札を通りながら、美佳は振り返り、

「ロックはやめないからな!」

そう叫ぶと、プラットホームに向かって、走り出した。




「な、なんなんだ」

美佳の姿が見えなくなった頃、俺は振り返った。

「髪…黒に戻したのか」

俺は頭をかくと、歩き出した。

なんか…調子が狂った。

片桐のことで考え込んでいたのに、

「ったくよお!」

いつもの俺に戻ってしまった。

軽く苛立ちながら、少し早足で、家への道程を歩いていった。