やっぱり…俺の脳は、前にいる者を認識しなかった。

だけど、何度も避けようとしても、邪魔をするので、

やっと俺は、通せんぼをする者を軽く睨んだ。


「太一!」

俺の睨みよりも、鋭い声で睨みつけたのは…。

「?」

一瞬、わからなかった。

「太一!何、無視してんだよ!」

顔を近づけて睨む女に、俺ははっとした。

思わず指差しながら、後退った。


「美佳か!」


「そうよ!」

腰に手を当て、怒っている女は…紛れもなく、美佳だった。

「お、お前…どうして」


すぐにわからなかったのには、理由がある。

今日学校で会った時は、金髪だったのに、

一年前の黒髪に戻っていた。