麻衣は、僕から目を離さずに、

「伊藤とあたしは似てるの…不器用なとこ…。本当の気持ちを言えないとこ…。ここしばらく、やりとりしてたメールからも、わかったわ」

麻衣は苦笑し、

「だから…あたしは、強引な彼と出会い…引っ張られて、ああいうことになったの」

麻衣は、流れ落ちていく涙を拭った。

「あたしは、卑怯なの。あたしは……今でも、こんな風になった自分でも、必要としてくれる人がいると、確認したかったの…」

麻衣は、もう涙を拭うのをやめた。

「あたし……本当のことを、あなたに伝えたいけど…やっぱり面と向かっては…無理みたい…」

麻衣は後ろに、下がり始めた。

「か、片桐?」

追い掛けようとする僕を、片桐は制した。

「近づかないで!あなたの優しさは、知ってるから……これ以上…あなたを巻き込みたくない」

麻衣は拒みながらも、精一杯の笑顔を浮かべ、

「あとでメールするね。あたしの真実を…」

麻衣はそう言うと、僕に背を向け、

校門に向かって走りだした。