「顔とか…容姿で、好きになるなんて…不純だよ」

俺から少し離れた席に座っていた多岐総司が、呟くように言った。

なぜか…届いたその声に反応して、振り向くと、

総司が俺の顔を睨んだ。

その瞳の純粋さに、俺は息を飲んだ。

「おいおい…総司。最初は、顔だろ?」

2人の間にいた正利は、総司の机に近付くと、手を置いて、顔を近付けた。

「俺達…青少年が、最初から…顔じゃなくて、心なんだああ!……みたいな綺麗事は、負け犬の遠吠えみたいで、駄目だろ?」

これまた童顔で、地毛が茶髪ぽい総司は、椅子を叩いて、いきなり…立ち上がると、

正利ではなく、俺を睨みつけ、

「また…傷ついても知らないからね!」

と言うと、教室から走って出ていった。