そうやって君は言ったよね?。

“ この世にいらないものなんて無い ” …。

その言葉は僕にとって希望をくれたんだ,勇気も与えてくれた。

僕にとって必要な物をくれたんだ。

あの薬を飲まなきゃ平助も僕も山南さんも此処に居る価値なんて無いからね。

ザァァァ…

風が強く吹くと桜の花弁も舞うように散っている。

僕の腰まである長い髪も桜と共に舞うように靡く。

目を閉じてそのままにしておく。

「あれ,沖田さん」

「ん?…あぁ…舞花ちゃんか『おはよう』」

閉じていた目を開けて舞花ちゃんの方へ向き,柔和に微笑む。

「あ,『おはようございます』…ところで此処で何を?」

「ん?夜桜見物ってとこかな?」

「そうですか…冷えますから部屋に戻って下さいね,ご飯をお部屋に持って行きますから」

「ん,ありがとう」

ご飯は普通に食べられるし,味も普通に味わえれる。

もう,それだけで良いよね。

望めば望む程,罰が当たるだけだからね。

だから,僕はもう望まない。

もう,君がずっと傍に居てくれるだけで…幸せな気持ちになれるし,幸せになれる。

出来るならば君の事を僕が一生大切にしたいし,ずっと愛したい。

君に『生きて欲しい』と言われたらどれだけ僕は嬉しいだろう…ううん,幸せなんだろうな…。