吸血衝動も無くて,瞳が紅くならなくて,髪も白くなっていなかったら普通の人に見える。

羅刹にとって夜は本番で活動時間でもある。

でも,僕は羅刹になって月が綺麗に見える。

前まではこんなにも月が綺麗だとは思わなかったのに。

今日の月は白く輝いている様に見える,僕にとっては希望の光みたいな感じ。

「外の空気を吸いに行こっと♪」

僕は起き上がった後,布団から出て外に出る。

四月でも外の空気はまだひんやりしていて涼しくて,気持ち良い…。

庭にある梯子段に座って桜を眺めた。

……舞花ちゃんの目には僕はどういう風に映っているのだろう?

ふと僕はそう思った。

そんな事を舞花ちゃん本人に聞いても意味なんて無いと思うのに,どうしても聞きたくなるのは,どうしてなんだろう?

こうやっていても,何も考えてなくても疑問ばかりが思い付いちまう。

すると,前に舞花ちゃんが言った言葉を思い出した。

『この世にいらないものなんて無いと思います,例え輝けなくなっても必要としている人はきっと何処かにいます,必要とされたいのなら諦め無い方が良いと思いますー…』