「夜道すら照らせないんじゃ…そんなのただの役立たずだよね?…それでも月は其処に,空に必要とされているのかな…?」
なんでこんな話を君にしたんだろう…?。
問いかけた僕でさえも分からない。
「あの…沖田さんが仰りたい意味はあまり分かりませんが…この世にいらないものなんて無いと思います」
でも…誰かに気付いて欲しかったのかもしれない。
「例え輝け無くなったとしても必要としている人は,きっと何処かにいると思います。必要とされたいのなら,諦めない方が良いと思います」
恐れていたのは誰でも無く,ただ其処に在る自分の意味と弱さを…
誰かに気付いて欲しい,誰かに必要とされたい,誰かの力になりたい…近藤さんの頼りに…力に…なりたい。
「そっか…」
僕は,きっとこの答えを自分の何処かで待っていたのかもしれない。
『必要としている人は,きっと何処かにいると思います』
という答えを。
「じゃあさ,僕が羅刹や鬼になっても…役立たずになっても,君は…舞花ちゃんは僕を必要としてくれる?」
「え!?なんで私なんですか!?」
「もしかして…必要としてくれないの?」
「いや,必要としますけど!」
「なら,別に良いんだ,それだけで僕は…良いんだ」
小さき光は瞬き暁へと導く。
願うは行く先に幸多からん事を…。
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「僕は…まだ戦えるんだ!」
僕は覚悟を決めてある水を一気に流し込む。
副作用の苦しみに僕は耐える。
顔にかかっている前髪が白くなっているのに気付く。
そして燃えるように赤く輝く瞳。
僕はもう人じゃない,そう…
『羅刹』だ。
これから羅刹として僕は生きて行く。
僕はもう迷いなんざ,悔いなんざもうねぇんだ!