いつも通り、学校の帰り道を歩いていると、一車線の狭い道に不釣り合いな黒塗りの高級そうな車が立ち往生していた。



後方の車からクラクションを鳴らされているのにも関わらず、立ち止まったまま。



何だあれ、ガス欠か?

気なったら聞く!!それが、あたしのモットー。


あたしは黒塗りの車目掛けて走り出した。




「どうしたんですか?もしかしてガス欠…」


最後まで言い終わらない内に、車の後部座席の若い男に言葉を遮られた。



「キミ、良いところに来た。今ちょっとした問題が発生した所だったんだ。」



やっぱりガス欠だったんだ…と思ったのも束の間



「今少し遅めのアフタヌーンティーを楽しもうと思っているんだけれども、駅前のスコッティオと公園通りのルーシオと、どちらに行こうか迷っていたんだ。キミはどちらが良いと思う?」


この言葉に時が止まった。


「……あ、あの、ガス欠とかではないんですか…?」


「そんな訳ないじゃないか。むしろ満タンだよ。」


…プチン。
何かが音を立てて崩れた。


「とりあえずこの道から出ろー!!」



「…え?」



「いいから、とっとと出ろって言ってんだよ。」


「は、はい~!!」