光くんは本当に王子様だと思った
あんなに悲しかったのに
あんなに涙が止まらなかったのに
光くんの言葉がいつの間にか私の涙を止めていた

「私 青山・・・」

私も光くんに自分の名前を言おうとした
その時・・・
ゴーン・・・ゴーン5時を知らせる鐘がなった

「わ、私帰らなきゃ」

ここへ来たことは誰にも話していない
きっと私の帰りが遅いとママは心配する

「えっ?」

「光くん、ばいばい」

私は後ろを振り向く事無く走った

私が椿・・・青山 椿だと告げる事もなく

そう、これは多分私の一生の後悔
どうして私・・・光くんに自分を言わなかったんだろう