それが気に入らなかった、というのもあった。

才能がないものは切り捨てる、それが近野のやり方であり、指導方針だった。

中学校を卒業した今でも嫌な教師だったと思う。

そんなある日、美術室にカバンを置いたまま奏人のクラスでサボっていると、部活のメンツが呼びに来た。

「部活に来なよ」とのことだったけど、行きたくない、そう思った。

なにより、奏人といるこの時間が一番大事だったから、みんなには悪いけど.... 。

授業の早く終わる、木曜日だけは奏人と居たかったから、部活へは行かなかった。

当然の事ながら、顧問である近野には完全に見放されたけれど、なんとも思わなかった。