ーー 「雨音、ただいまー」 「おかえりなさい。何だか、上機嫌ですね」 鼻歌でも交じりそうな声は、昇給したかのようなそれだった。しかして、私の予想と反して、新垣さんの上機嫌ぶりはその脇に抱えた箱にあると見て分かった。 「今日は雨音に良いものを買ってきたんだ。毎日、埃一つなく掃除するのが大変だと思ってね。ルンバを買ってきーー」 「私は用済みなのでっ!?」 ※何故か彼女の姿に、先月、上司からクビを宣告された中年の男が重なったと後にNさんは語ります。