ろくに見もしないで俺は答えた。だって、アオイしか目に入らないんだから仕方ない。レストランまで少し距離があり、回りを歩くカップルはみんな手をつないだり腕を組んだりしている。俺たちだって一応付き合っているんだから、手をつないでもいいはず……。そっと手を伸ばしかけたとき、アオイが「あ」と声を上げた。
「あのお店かな?」
「あ、そうみたいだね」
俺はドギマギしてまたポケットに手を突っ込んだ。
ったく、何をやってるんだ、俺は!
自分で自分に呆れながら、彼女との間の十センチほどの距離をキープしたまま、通りを歩いて白壁と黒板のコントラストが美しいそのレストランに入った。幸い、ランチタイムの混雑前で、待つことなく窓際に面した横並びの席に案内された。二人でランチメニューを頼み、落ち着いた中庭を並んで眺めながら、湖の国の新鮮な食材をふんだんに使った食事を楽しむ。野菜もみずみずしくてうまいが、なかでも近江牛ランプ肉のグリルは柔らかいながらも食べ応えがあった。
俺たちがメインを食べ終えたのを見て、ウェイターがテーブルに近づいてきた。
「デザートをお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「あのお店かな?」
「あ、そうみたいだね」
俺はドギマギしてまたポケットに手を突っ込んだ。
ったく、何をやってるんだ、俺は!
自分で自分に呆れながら、彼女との間の十センチほどの距離をキープしたまま、通りを歩いて白壁と黒板のコントラストが美しいそのレストランに入った。幸い、ランチタイムの混雑前で、待つことなく窓際に面した横並びの席に案内された。二人でランチメニューを頼み、落ち着いた中庭を並んで眺めながら、湖の国の新鮮な食材をふんだんに使った食事を楽しむ。野菜もみずみずしくてうまいが、なかでも近江牛ランプ肉のグリルは柔らかいながらも食べ応えがあった。
俺たちがメインを食べ終えたのを見て、ウェイターがテーブルに近づいてきた。
「デザートをお持ちしてもよろしいでしょうか?」


