私の後ろを待って待ってと笑顔で追いかけていた郁人。

素直で人懐っこい彼が、どこをどう間違えたのか、小学校、中学校と大きくなるにつれ、ちょっとひねくれ者な男の子に成長してしまった。

変わらないのは女の子ウケのいい容姿だけかなぁー、なんて考えていたら。

彼の瞳が私を捉えた。

少し驚いたのか、瞳を丸くした郁人。

私は笑みを浮かべて手を振ってみると──なんの反応もなく、視線が外された。

思わずそのままの体勢で固まる私。

いや、なんとく予想は出来てたんだけどね。

この間も、道路の反対側を歩く郁人を発見して名前を大声で呼んで手を振ったら、恥ずかしいからやめろって言われたし。

トラックがいたから大声になっちゃったんだと説明したら、LINEで話しかけろとか言うし。
私の可愛い郁人はどこへ行ったのか。