シンタくんに手を引かれたままバックヤードへ。
シンタくんは私を先に押し込んで、後ろ手にドアを閉めたところでハァーと大きく息をつく。
「バカ…。簡単にナンパされちゃって」
呆れているシンタくんに猛然と抗議する。
「か、簡単にされた訳じゃないもん!
いつの間にかあの人が近づいてきて…、勝手に喋り始めちゃうから…」
「そこまで簡単にさせちゃったんでしょうが」
おでこを小突かれて唇を尖らせた。
「田代さんを隣に座らせた俺も悪いんだけど。
まさか、こんなお子さまにまで手を出すとは……」
そう言いながら不貞腐れている私に目をやったシンタくんがそのまましばらく黙ってしまった。
「ーーーいや、ちょっかい出されても仕方ないか……。
俺が悪かったわ…」
何故か顔を少し赤らめて鼻を掻く。
「ごめんな。怖かった?」
頭を優しくポンポンとされて、今度は私の顔が真っ赤になった。

