「そうじゃなくて!」
感情が押さえきれなくて、大きな声が出た。
シンタくんが目を丸くして私を見る。
私は、今日まで想いを胸にしまい続けていただけじゃない。
ことあるごとに、さりげなくではあるが、シンタくんに好意を伝えてきたつもりだ。
恋心を自覚した時から、私はこの想いはきちんとシンタくんに伝えなきゃいけないと自分に言い聞かせてきた。
だから必死に父を説得して東京の大学に進学して、シンタくんのそばに来た。
受験する大学が決まってからは、合格してそばに来れたら告白するからね、と遠回しに伝えてきた……つもり。
だけどそれは『兄を慕う妹の好意』として捉えられてばかりで、おかげで私の初恋は、雪にしょっぱいだの苦いだのとけなされる始末。
この状態は、かなりマズイなと改めて実感。
甘さ控えめのカクテルと一緒にため息を飲み込んで、私はシンタくんに向き合った。

