「……いただきます」
もう一度囁くように言ってから、グラスを口に運んだ。
私がシンタくんにカクテルを作ってもらうのは2回目。
半年くらい前に兄たちとここで集まった時にも作ってもらった。
もちろんノンアルコール。
その時はロンググラスだったけど、今回は華奢なカクテルグラス。
初めて手にした。
それだけでなんだか大人になった気分になるなんて言ったら笑われそうだな。
そっと一口飲んでシンタくんに視線を向ける。
「どう?」
シンタくんが首を傾げる。
「……甘くない」
私の率直な感想にシンタくんは面白そうに吹き出した。

