「―――お客さん、誰も来ないね」
僅かに残ったコーラを飲み干して店を見渡す。
ナチュラルウッドで統一された店内。
植物が大好きなシンタくんが大切に育てている観葉植物があちこちに飾られて、壁には大きな四つ葉のクローバーの形をした時計が掛けられている。
照明を暗めに落としてるからジャングルみたい、なんてからかったこともあるけど、ほぼブラウンとグリーンで構成されたインテリアはとても落ち着く。
シンタくんの料理の腕は抜群で、さっき作ってくれたハーブサラダもカルボナーラもとても美味しかった。
兄いわく、カクテルを作るのもとてもうまいらしい。
それなのに、この店はあまり流行っていない。
もう何度もここに足を運んでいるけど、お客さんで溢れてるとこなんて見たことなかった。

