「……ごちそうさまでした」
限界までいっぱいになったお腹をこっそり擦りつつ頭を下げた。
「お粗末さま。
ってか、よく食ったな。太るぞ」
「だって、残したら怒るじゃん!」
シンタくんは私の抗議をあっさり聞き流してお皿を下げ、ロンググラスのカクテル(私には名前が分からない)をチビチビと傾ける。
「デザートもあるけど?」
「ムリムリムリ」
「あ、そ?
じゃ、後で包んでやるから持ってきな」
「何作ってくれたの?」
「紅茶のシフォンケーキ。
ちょっといいアールグレイ貰ったから」
「……ありがと」
ちょっと前に兄が
『あいつはどこを目指してんだか』
と言っていたのを思い出す。
本当に次から次へとレシピを増やし、スイーツにまで手を出し始めたシンタくんはこの店をどうしたいのだろう…。

