はぁっ……はぁっ……はぁっ……。
ゴールのベンチが近付いてくる。
茜色の道筋に伸びる長い影。
はぁっ……はぁっ……はぁっ……。
自分の息づかいに微かに混ざって聞こえる日吉の息づかい。
さすがブランクあっても元陸上部。
思ったよりすぐ後ろにいるじゃん。
だけど、この勝負だけは、俺がぶっちぎりで頂く。
先にゴールして、大好きだった日吉の走る姿をこの目に焼き付けるんだ。
それを最後に、俺は自分の気持ちにケリをつける。
目一杯カッコはつけさせてもらうけど、優しく背中を押してあげるから。
だから、この勝負だけはぶっちぎる!!
俺はラストスパートをかけて、アスファルトを蹴る脚にさらに力を込めた。
ーーendーー

