「ーーーキスの時は目を閉じるって知ってる?」
どれくらいの時間が経っていたんだろう?
ものすごく長く感じた時の後、シンタくんが始めに口にした言葉はこれだった。
もちろん知ってますとも。
いくらファーストキスでもね。
「……閉じてませんでした? 私」
真っ赤な顔で上目使いに見上げた私をシンタくんがまた腕の中に閉じ込める。
「びっくり眼でキョトンとしてた」
「…………すみませんね。
初めてなもんで分からなかったよ」
グレーのセーターをギュッと握って答えたら
「そっか……。 そうだよね。
からかってごめん。
じゃあ、早速お祝いのカクテル考えなきゃね。
今度は思いっきり甘いやつにする?」
優しい囁きに胸に顔を埋めたまま頭を振った。
「ふーん。…… 今度は目を閉じてね?」
再び体を離されて、シンタくんが私に降ってくる。
今度はちゃんと目を閉じて受け止められた。
甘い甘いキス。
触れ合えることが、こんなにも甘いなんて知らなかった。
こんなにも甘いのなら、カクテルは甘くなくていい。
だって、これ以上甘かったら、
胸焼けしちゃうよね?

