「一番でかい虫は今日退治できたと思うんだけどさ。
他にもいっぱい虫はいそうだから。
この鍵でしっかり戸締まりして。
千波の大事な部分は心も体も全部閉じ込めて鍵かけておいて」
シンタくんは言い切った。
とんでもなく嬉しくて甘い言葉を。
とんでもなく恥ずかしいはずなのに。
どんな顔をして言ってくれたのか見たかったけど、私の真後ろにいてネックレスをつけてくれているから振り向けない。
Vネックのセーターを着ていた私の肌に微かな冷たさを感じたけど、それはすぐに熱さに変わった。
小さな鍵がものすごく暖かいものに感じる。
「出来た…。
はい、お手」
スツールに座ったままの私をクルリと自分の方に回して、シンタくんが掌を差し出す。
「私……犬じゃない」
そう言いながら軽く握った手をパシッとシンタくんの手に乗せた。
ぐいっと引かれる手。
私もスツールから下ろされて、シンタくんの胸に飛び込むようになった。
「う……うわーん。 あ、ありがとー……」
涙がぶわっと溢れ出す。
っていうか、ここまでよく我慢してきたよ、私。
でも、もう無理だ。
嬉しすぎて涙が止まらない。

