「シンタくんさっきこのカクテル出してくれる時言ってくれたのって、もしかして……?」
シンタくんは私をチラリと見やってから視線を正面に向けて答えた。
「付けたんだよ。カクテルに名前。
いつまでも名無しの権兵衛さんじゃかわいそうだろ?」
「千波スペシャル?」
「そう。
……何か問題でも?」
「いえ……。 結構なお名前です」
本当に嬉しかった。
カクテルに名前まで付けてくれたこと。
ただ、そのあまりにストレートすぎるネーミングに堪えても笑いが込み上げてきてしまう。
肩を震わせる私を右からシンタくんが小突いた。
「笑うなよ。 これでもかなりの時間をかけて真剣に考えたんだからな?
これは入学のお祝いに作ったものだからそれに因んだ名前にしようとか…。
他にも色々考えたんだけどさーーー」
一旦言葉を切ったシンタくんがカウンターに頬杖をつきながら更に語り始める。
「ーーーこれからも千波が節目とかを迎える度にオリジナルカクテルを作ってやろうって決めてるからさ。
その度に名前を考えてたらキリがないぞって思って。
だって、これから先100も200もカクテルの名前思い付く?
だから千波のために作ったカクテルは
"千波スペシャル" で統一することにしたの」
正面を向いたまま淡々と話すシンタくん。
「まぁ、言い訳だけど…」
ボソッと付け加えて頭を掻いた。

