「こ、ここに好きな時に来ていいの?」
信じられない気持ちで訊ねる。
初めてここに1人で来た入学式の日。
苦い顔したシンタくんに釘をさされたことを忘れるわけがない。
「いいよ?
そうでもしなきゃまたお互いなかなか顔見れないもんな。
そのかわり、学業とバイトが最優先だぞ?
それはちゃんと約束できるよな?」
「できます!」
元気よく飛び付くように答えた私にシンタくんがフハッと吹き出して、私の頭をポンポンとしてくれる。
本当に夢みたいだ。
これからは好きなだけシンタくんに会いに来れる。
「でも……」
1つだけ引っ掛かることがあって私はおずおずと口を開く。
「ここで他のお客さんに私のこと訊かれたら妹って答えるんだよね…?」
シンタくんがちょっと驚いたような顔をして私の顔を覗き込んだ。
「何で?
そんなしょーもないウソつく必要ある?
ちゃんと『僕の恋人です』って答えるでしょ。そこは。
あ、佐藤さんたちにはこの間ちゃんと訂正しておいたから」
「……ホントに?」
間髪入れず答えてくれたシンタくんをじっと見上げる。
シンタくんはまたフワリと笑って頷いてくれた。
「ありがとう。
すごく、すごく、すっごく嬉しい!
もう最高なプレゼントもらった気分だよ」
本当にこれ以上欲しいものなんか何もないってくらい嬉しくて、はしゃぐように言った私にまた信じられない言葉が返ってくる。
「なーに言ってんの。まだまだこれからだよ」

