「一番後ろの女の子はね、三男坊の恋人なんだって。
いつも仲良しだからお家にも連れて帰るんだってさ。
かっきーが書き足してくれたの。
やることが憎いよね」
そう言いながらシンタくんはとても満足そうに絵を見ながら何度も頷いていた。
「三男坊の家、って店が潰れないように験担ぎでつけた名前なんだけどさ、実はもうひとつ意味があってね」
シンタくんがまたゆっくりと話し出す。
「親父が3匹のこぶたの話が好きで俺によく言ってくれたのはね、
『三男坊みたいに皆が安心して穏やかに過ごせる場所を作れるのが一番カッコいい男だ』ってことだったんだ。
まあ、家とか住まいに関する仕事をしてたからそんな話をしたのかもしれないけどね。
この店を始めた時、そういう店作りをしようって決めた」
「うん……」
胸がいっぱいになって頷くだけで精一杯だった。
「この絵にさ、かっきーが4匹目も書き足してくれたでしょ?
三男坊がそういう思いで作った家に一緒に連れて帰るのはもちろん一番大事な人ってことじゃない?
俺、この絵に書かれているものの中でこのかわいい女の子豚が一番好きなんだ」
ずっと絵を見つめながら話していたシンタくんが私に視線を滑らせる。
「俺さ、この店は自分と千波のために頑張りたいと思うんだよね…」

