「シンタくんはさ、ただでさえすごく忙しいじゃん。
お店だけじゃなくてアパートの管理とかもしててさ。
私、シンタくんが体壊しちゃうんじゃないかなって心配なんだよ。
この上昼営業まで始めちゃったら、シンタくん本当に休むヒマなくなっちゃう。そんなのダメだよ」
一気に話して、最後にもう一言だけ付け加えた。
「もちろん……私も寂しいし…」
赤くなって俯いた私の頭が優しく撫でられる。
「すげー嬉しい。そんなに心配してもらえてるなんて思わなかった。
でも、大丈夫だよ」
「何で? 大丈夫じゃないよ」
シンタくんを真っ直ぐ見て訴えた。
シンタくんはフワッと笑って答える。
「アパート管理は全部俺の手から離すことにしたから」
「え?」
「不動産会社に管理委託することにした。
親父が遺してくれたものは全部俺が管理するって決めてたけど、そうもいってられないし。
親父が死んだ時、経営してた会社の幹部とも色々あって疎遠になってたんだけど思い切って会いにいってアパートの管理をお願いしたんだ。
親父が一番頼りにしてた専務が今は社長になっててね、ちゃんと引き受けてくれた。
今後はアパート管理はプロに任せて、俺とお袋がオーナーってかたちになるのかな?
で、入金とかの管理も千葉の叔母夫婦に任せることにしたから俺が関わることはもうないんだよ」
私にもちゃんと分かるようにゆっくり話してくれたシンタくんは、アパートを会社に管理委託する前に自分が気になっていた部分をリフォームしていたからすごく忙しかったんだよ、と教えてくれた。
それと兄たちが住むマンションの部屋は今まで通り自分で管理するとも。