「あーあ。やっぱり見付かっちゃったか……」 頭を掻くシンタくんとまだ呆けている私の前に今度は兄が現れる。 「シンタ。 こんな時間にこんなとこまで来てうちの妹どこに連れていくの?」 ずいっと詰め寄る兄に 「川越に連れて帰るの。 今から丸1日、俺が千波を独り占めしたいから」 兄を真っ直ぐ見据えたままあっさりと言ってのけたシンタくんに、兄と私だけでなくその場にいた全てのオーディエンスが固まった。