『お互いに素敵なバレンタインにしようね!!』
雪とテンション高く誓いあったのに、やっぱり私の方は甘くなかった。
バレンタイン当日の朝、渡す予定のグリーンの包装紙でラッピングしたチョコレートを何度も眺めながらウキウキしていた私に届いたのは、何とも残念なメール。
【やっぱり今日も何時までかかるか分からない。
とりあえず、夕方またメールする。
本当にごめん】
毎日のメールと電話でお店の工事が遅れているのは聞いていた。
それでもバレンタインまでには終わるから、という言葉を100パーセント信じていたわけでもない。
昨日はメールすら来なかったし。
こうなることは想定できていた。
だから、そんなに落ち込まないもん。
……自分に言い聞かせたけど、ダメだった。
「今から宅急便で送っても今日中に届かないよ……」
思い切り落ち込んで、ほんの少し涙も流してしまった。
それでも無理矢理気持ちを立て直した。
ちょっと悩んだけど、チョコレートをバックに入れたままバイトに行った。
夕方に届くメールにわずかでも希望を残したかったから。
でも、予備校に着いて始業ギリギリまで待ったけどシンタくんからのメールは届かなくて、深く項垂れた姿を渡辺先輩に目撃されて…。
あんなに楽しみにしていたバレンタインデーは、私にとって忘れられないくらい最悪な1日になってしまっていた。

