ぱちん。
ぱちん。
再びホチキスの音だけが響き渡る。
「先輩チョコレートたくさんもらいました?」
「まぁ、それなりに。
これ終わって戻ったらまた増えてると思うし。
オタクの兄貴ほどはもらってないけど」
「そうですか……」
ぱちん。
ぱちん。
「なあ、何ならもらってやってもいいぞ?
お前が渡し損なった本命チョコ」
ぱちん。
ぱちん。
ぱちん。
ぱちん。
「……いいです。うちに帰って自分で食べますから」
「あ、そ。
ま、残念だったね。 今日だけはソッコーで帰りますから…って張り切ってたのにね。昨日まで
どんな彼氏か知らないけど、当日ドタキャンするようなヤツやめときな。
何なら、俺今フリーだから付き合ってやってもいいぞ?」
「何ですか、その上から目線。
ご心配頂かなくても間に合ってますから」
ぱちん!
最後の資料をとじ終えて、私は大きなため息をついた。

